
少し涼しくなったかな…と感じていたら
また蒸し暑い日に戻ったりと、
夏の終わりと秋の入り口を行ったり来たりしている9月の終わり、
みなさんお元気にされていますでしょうか。
わたしは、このクリニックのブログを
15年ほど書いているのですが、
実は毎回不安なんですよね。
どういった不安かと言いますと
「書こうとしたことが、ちゃんと伝わっているのかなあ…」
「書いたことと違った思いや状況、立場の人たちを
動揺させていないかなあ…」
という不安が、一番大きいです。
多くの人に向けて発信したり伝えようとするものでは
おひとりおひとりへ配慮することがむずかしいなあ…と感じています。
たとえば、
“ 体外受精で卵を移植してから
妊娠判定を待っている期間は
こころが特にざわざわしやすいですよね。
「妊娠した周期は、母親が入院したりして
前回より妊娠のことを気にする時間が少なかったから
それがよかったのかなって思っているんです」
とおっしゃる人もおられましたよ。 ”
という一文を書いたとします。
実際に、移植後には、
生活のいろんな場面で
「これをやっても大丈夫かな?」と気になったり、
「妊娠していたら…」という想像と
「ああ、期待してもダメだったら落ち込むから、考えないでおこう」という思考が
あまりにも短いスパンで何度も何度も頭に浮かんでくることもあるので、
「ああ、わかるわ。忙しいと、考える時間が少なくなるもんね。」
と、共感される方もおられると思うんです。
ただ、もしかすると、
「移植後にいろいろ考え事してしまうと
妊娠しにくいってこと?!」
「仕事していないから
どうしても妊娠のことばかり考えちゃうんだけど…。
妊活のために仕事やめたのに…ダメだったっていうの?」
「わたしはものすごく慎重に過ごしていたけど
3回目の移植もダメだったのに、
忙しくしても妊娠した人の話なんて聞きたくない…」
「妊活始めたばかりだから、移植しても妊娠しないかも…とか
この先が怖くなるようなことは知りたくないなあ…」
など、文章を目にされたときのおひとりおひとりの状況によって
共感というより、こころがざわざわしちゃっうこともあると思うんです。
妊活をしている人全員が
状況や想い、価値観が全く同じってことではありませんので、
どなたかが好意的に親しみをもって受け取ってくださったメッセージが
どなたかにはそぐわないということがどうしてもあると思うと…
本当にむずかしいし、どう受け取ってくださるか不安に感じています。
カウンセリングは一対一でお話するところなので、
「みんなはだいたいこういう思いですよ」という大きな声は関係なく、
おひとりおひとりの状況、思い、立場などから
ちょっと気になったり引っかかったりされていることについて
お話しながら整理したりこころをあたためていきます。
「わたしはこう思う!」
「わたしはこういう気持ちになった!」
を、是非、その時間でおうかがいできれば…と思っています。
大きな声よりも、じぶんが確かに感じていることを
大切にしていきましょう。
公認心理師・臨床心理士 間塚