TOP > NEWS

NEWS

2025.10.11

妊娠していなかったときの、こころもよう。

 

IMG_3958 (002)

 

通院中、いろいろなタイミングで

こころが緊張したり

期待と不安が交互に押し寄せることがあるかと思っています。

 

タイミングをとったあとや

人工授精のあとも

ちょっとソワソワするような、

でも生理が来ちゃったことがよぎっては

みぞおちあたりがヒヤッとするような

なかなか落ち着かない感じがあるかもしれません。

 

体外受精の場合は

受精して数日育った卵を子宮に還します。

卵が子宮に還ってくる様子を

みなさんはモニターで確認できますので、

移植後は、「わたしのお腹に命がある」

と、強く感じるかもしれません。

 

妊娠しているかどうか結果がわかるまで

10日ばかりあるのですが、

どうやったってお腹が気になりなるでしょうし

お腹の中の卵さんに影響するかも…

と、思って、普段なにも気に留めずにしていることが

ひとつひとつ気になったりもすると思うんです。

 

もう、お腹の卵さんと、一緒に生きている時間が

始まっているんですよね。

 

そういったお気持ちで過ごされていて

妊娠していないという結果だったとき、

こころがガツーンと砕かれるようだったり

お腹の奥がザーーッと冷たくなるようだったり

その結果についてのこころの反応があると思います。

 

誰かに話したり、泣いたりすることで

少し落ち着くところもあるかもしれませんが、

もしかしたら、もう一度移植をしていくのに

なんか胸がざわざわしているなあ…とか

ちょっとこわいなあ…とか、不安だなあ…とか、

そういった感覚を引き連れて進んでいかれるのかもしれません。

 

「人に話したら泣いてしまいそうだから、話したくない。」

「カウンセリングがあるよってすすめてもらったけど…

 できたらカウンセリングを利用しないじぶんでいたいな。」

と、思うこともあると思います。

こころの守り方も、人によってそれぞれですよね。

 

「今、わたしのこころは、どんなふうに守ってあげたらよさそうかな?

 こころのばんそうこうを貼っておくことかな?

 こころを鉄壁で囲っちゃおうかな?

 こころが腫れているから、腫れている中身を出してしまうことかな?

 こころが冷たそうだから、こころを毛布で包むことかな?」

なんて、想像をしてみると、

こころにとって今必要そうなことが

見つけられるかもしれません。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士   間塚 

 

 

 

 

 


2025.10.01

実は、ずっと不安なんです。

 

IMG_3910 (002)

 

少し涼しくなったかな…と感じていたら

また蒸し暑い日に戻ったりと、

夏の終わりと秋の入り口を行ったり来たりしている9月の終わり、

みなさんお元気にされていますでしょうか。

 

わたしは、このクリニックのブログを

15年ほど書いているのですが、

実は毎回不安なんですよね。

 

どういった不安かと言いますと

「書こうとしたことが、ちゃんと伝わっているのかなあ…」

「書いたことと違った思いや状況、立場の人たちを

 動揺させていないかなあ…」

という不安が、一番大きいです。

 

多くの人に向けて発信したり伝えようとするものでは

 おひとりおひとりへ配慮することがむずかしいなあ…と感じています。

 

たとえば、

“ 体外受精で卵を移植してから

   妊娠判定を待っている期間は

  こころが特にざわざわしやすいですよね。

 「妊娠した周期は、母親が入院したりして

 前回より妊娠のことを気にする時間が少なかったから

 それがよかったのかなって思っているんです」

 とおっしゃる人もおられましたよ。 ”

という一文を書いたとします。

 

実際に、移植後には、

生活のいろんな場面で

「これをやっても大丈夫かな?」と気になったり、

「妊娠していたら…」という想像と

「ああ、期待してもダメだったら落ち込むから、考えないでおこう」という思考が

あまりにも短いスパンで何度も何度も頭に浮かんでくることもあるので、

「ああ、わかるわ。忙しいと、考える時間が少なくなるもんね。」

と、共感される方もおられると思うんです。

 

ただ、もしかすると、

「移植後にいろいろ考え事してしまうと

 妊娠しにくいってこと?!」

 

「仕事していないから

 どうしても妊娠のことばかり考えちゃうんだけど…。

 妊活のために仕事やめたのに…ダメだったっていうの?」

 

「わたしはものすごく慎重に過ごしていたけど

 3回目の移植もダメだったのに、

 忙しくしても妊娠した人の話なんて聞きたくない…」

 

「妊活始めたばかりだから、移植しても妊娠しないかも…とか

 この先が怖くなるようなことは知りたくないなあ…」

 

など、文章を目にされたときのおひとりおひとりの状況によって

共感というより、こころがざわざわしちゃっうこともあると思うんです。

 

妊活をしている人全員が

状況や想い、価値観が全く同じってことではありませんので、

どなたかが好意的に親しみをもって受け取ってくださったメッセージが

どなたかにはそぐわないということがどうしてもあると思うと…

本当にむずかしいし、どう受け取ってくださるか不安に感じています。

 

カウンセリングは一対一でお話するところなので、

「みんなはだいたいこういう思いですよ」という大きな声は関係なく、

おひとりおひとりの状況、思い、立場などから

ちょっと気になったり引っかかったりされていることについて

お話しながら整理したりこころをあたためていきます。

「わたしはこう思う!」

「わたしはこういう気持ちになった!」

を、是非、その時間でおうかがいできれば…と思っています。

 

大きな声よりも、じぶんが確かに感じていることを

大切にしていきましょう。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


2025.09.17

「休診のお知らせ」

9/22(月)の診療は休診とさせていただきます。


2025.09.12

開院16周年を迎えて…。

 

IMG_3828 (002)

 

ほんのちょっぴりですが

なんとなく秋っぽさを感じる瞬間があるようになってきました。

とはいえ、まだまだ暑いですから

油断なされず引き続きご自愛くださいね。

 

さて、毎年言っているかもしれませんが、

草津レディースクリニックは2009年9月に開院しましたので

16周年を迎えましたー!

森先生が来られてからは、11周年になります。

 

クリニックの床や壁を見ていて

少し年季を感じるところがあるなあ…と

最近思っていたのですが、笑

それなりの年月が流れていたのですねえ。

 

日本の出生率は年々低下していっていますが

体外受精での出生率は反比例するかのように上昇しています。

開院当初は確か、体外受精での出生率は

クラスに1人くらいの割合だったように記憶していますが、

2023年上半期は、8.5人に1人の割合だそうです。

 

今は医療サポートを受けながら妊娠をしていくことが

一般的なことになってきていますから、

価値観が年月とともに変遷していくのを実感しております。

 

ここ数年は特に、医療サポートを利用しながら妊活していることを

家族や友達に相談している人や

身近に医療サポートの経験がある方が多くなってきました。

お話できる人がいることで

こころが救われることもあると思います。

 

じぶんが今体験していることについて

誰かに話して理解してもらうことや

話して気持ちや体験を整理していくことは、

じぶんにとって大きな支えになることがあります。

カウンセリングルームでは

「こんなことがあった!」

「こういうふうに思った。」

「こんなに大変だった!」

「ずっと不安なんです…」

などという妊活の現状が語られる中で

少しずつ気持ちや体験が整理されていって

「話せてスッキリしたなあ。こころがあたたまったなあ。」

という実感を味わっていただいています。

 

ところで、わたしは常々ずっと

「不妊治療」という言葉にはインパクトがあるなあ…と思っています。

どうして子どもを望む方たちへの医療サポートに

不妊という名前を使ったのでしょうねえ。

そこで、時折「どんな名前だったらいいのかなあ…」

と、思いめぐらしたりしているのですが、

妥当なところで言えば「生殖治療」なのでしょうかね。

ただ、生殖は、生物全体の生殖機能を指すようで

わたしたち人間は、生殖という言葉にあまり親しみがないように感じるところもあって、

実情にぴったり、かつ、

この医療サポートを必要としている方が

入っていきやすい名前がいいなあ…と思うんですよね。

 

わたしは、医療のことは門外漢なので

もしかしたらとんちんかんなことを言っているのかもしれませんが、

個人的には、「不妊治療」という言葉を使うのは

これだけ長く勤めていても、実はあまり気がすすまないのです…。

 

妊活は多くの場合、大変な労力や気力が必要かもしれません。

また、人生で子を授かることがあるのか

確実な結果が約束されないことへの挑戦であって、

不安や心配、焦りといった気持ちが取り巻くこともありますよね。

草津レディースクリニックでの時間を

一緒にやさしく過ごしていきましょう。

 

人生の中で、草津レディースクリニックとご縁のあったみなさんの今が、

どうか安心で幸せでありますように…。

どうかご自分にやさしい毎日でありますように…。

みなさん、お元気ですか…?

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


2025.08.27

愛は、どんなものでしょう?

 

IMG_3717 (002)

 

8月が去っていきますね。

「ようやく今年の夏を超えられる…」

と、ホッとしているわたしがいるなあと思っています。

とはいえ、まだ暑さは続くとは思うのですが…

今年の夏は、みなさんいかがでしたか?

 

わたしは、とあるライブに行ったのですが、

そのバンドメンバーの文集が売っていたので読んでみたら、

その文集の中に「愛は並列」という言葉がありました。

 

これを書いた人は

からだに不調があって施術を受けているときに

突然「愛は並列だ」と降ってきたみたいで、

これ自体がどういう意味合いなのかは

解説されていなかったのですが、

わたしは「これはすごい!」

と、感じました。

 

言葉にすると受け取った感じを

全て言い表せないかもしれないのですが、

上下関係がなく

どちらかが一歩下がっていることもなく

じぶんに負担をかけて相手に献身することもなく

相手をじぶんの思い通りにすることも

じぶんを相手の思うように変えようともしない、

お互いがお互いの存在を尊び

適切な距離感で守られている関係上に

並列は生まれてきそうな感じがするなあ…

と、わたしは想像しました。

 

愛し合っている人同士であっても、

並列でいることって

本当はとてもむずかしいことなんだろうなあ…

と、思っています。

だから、余計に「並列」に惹かれたのかもしれませんね。

 

お互いのことに口出ししたり、

相手に気を遣って我慢したり

相手が気を遣ってくれていることに気づかず

「してもらってあたりまえ」になったり、

「どうしてわたしの思ったようにやってくれないの?」って思ったり、

「これが絶対いいから、こうしよう」とじぶんの意見を押し付けたりすることが

実際には多いんじゃないかな、と想像しています。

 

それがよくないということではなくて

そんなようなことも重ねながら

ぐだぐだ言い合いながらやっていくものでもあるのかな…

と、思ったりもします。

こちらの関係も、また尊いですよね。

 

並列でいることは

むずかしいかもしれないけど、

相手がじぶんにしてくれていることや

じぶんが相手に負担をかけているかもしれないことには

気にかけてみるのもいいかもしれませんね。

「わたしこんなふうに感じているけど…」

「ボクこんなふうに思ってるんだけど…」

と、時折、調整できるといいですよね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


2025.08.14

残暑お見舞い申し上げます。

 

IMG_3607 (002)

 

まだまだ暑い日が続きそうなのですが

とんぼが飛んでいるのを見かけると

そろそろ残暑という時期なんだなあ…と思います。

 

この間、雨の中を歩いていると、

葉っぱの青いにおいと

ちょっとねっとりした感じが混ざったにおいがしました。

「なんのにおいかなあ?」と思って見上げると

青々と葉っぱをつけた大きなイチョウの木がありました。

夏のイチョウの木のにおいは、こんな感じなんだなあ…

と、しみじみ思いました。

 

そういえば、嗅覚は五感の中でも

感情や記憶と結びつきやすいんです。

 

みなさんも

特定のにおいとともにある記憶が呼び起こされたり

こころが落ち着いていく感じがしたりすることが

ありませんでしたか?

 

わたしは、この間、久しぶりにあんこを炊いていたのですが、

小豆を茹でているときのにおいにしみじみ幸福を感じていました。

わたしにとって豆を茹でるにおいは、そういう効果があるみたいです。

 

暮らしの中で

わたしたちのこころを喜ばせたり

温かく包んでくれたり

いつかのあの日に連れていってくれるようなにおいは

たくさんあります。

 

自分にとって心地よいにおいは

精神の安定にも役立つと思います。

高価な香りを買わなくても

例えばお料理したり土いじりをしたり洗濯をしたりする中で

心地よいにおいに出会えることでしょう。

 

心地よいにおいに出会って

いいにおいだなあってからだが喜んでいることに気づいたら、

ちょっとの間、手を休めて頭も休めて

そのにおいをからだに響かせる時間にしてみたいですね。

 

そういえば、においには、

実際の「匂い」だけではなく

その対象の「雰囲気」をあらわすこともあります。

不快なにおいがするものとは距離をとったり

心地よいにおいがするものとは親しみをもったりして

わたしたちのひとつの支えや頼りの一つにしてみるのもいいかもしれませんね。

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

 

 

*当院に通院されていない方でも

 妊活中の方の心理カウンセリングを受け付けております。

 詳しくはホームページでご確認ください。

 

 


2025.08.05

夏のせい。

 

IMG_3615 (002)

 

近年、夏を迎えるたびに「異常な暑さだなあ…」と思っているのですが、

今年は輪をかけた異常さで、身の危険を感じますよね。

 

そんな今年の夏、

「もしかして自律神経乱れてるんじゃないかな?」

と思うことはありませんか?

 

最近、わたしの周りでは、イライラエピソードが多いんです。

イライラさせられたり

イライラをぶつけられたり

いつも以上にイライラしてしまったり、

いろんなイライラエピソードを聞いたり体験したりしながら

「みんな(わたしも含めて)イライラしすぎてないかしら?」と思っては

この暑さじゃ仕方ないよねえ…と思うところもあります。

 

きっと、この猛暑で、わたしたちの自律神経が

戦闘態勢になっていることが多いんじゃないでしょうか。

 

なので、いつもは

「相手のせい」「周りのせい」「わたしのせい」などと

人に原因を求めていることでも、

「いや、今は夏のせいかも…」

としておくのも、いいかもしれません。笑

誰のせいでもないって平和ですよね。

 

今年の夏はいろんなハードルを低くして

(わたしは出勤したら、出勤したじぶんに「すごいね」と言っています)

できるだけ自律神経にやさしく

過ごしていきたいところですね。

 

とはいえ、暑くて困るだけの夏でもなくて、

散歩をしながら見上げた空に

もくもくと白くて大きい雲がそびえ立っていくような様子や、

歩道橋に上って見る夏の夕暮れ時の

眩しさの混じった西日で照らされた街並みと

うっすら赤みがかった雲と淡い青色の空の色合いなどから、

「ああ、夏だなあ…」としみじみ思います。

夏っぽい景色は、とても雄大な印象がわたしにはあります。

そして、今年の桃は、とても味が濃くておいしい。

 

みなさんは、今年の夏を

どんなふうに感じておられるでしょうか。

 

「夏が暑すぎる!」も、「夏っぽい景色きれい!」も

まるっと今年の夏。

夏を楽しめるところは楽しんで

からだは十分労ってお過ごしくださいね。

 

食事を作って食べて、

からだを動かして、

こころとからだをゆるめて

たっぷり眠るのは、

いつだって大切なようです。

どうぞご自愛ください。

 

食べたり眠ったりが

なんだかむずかしかったり

いつもの感じじゃないようなときは

ぜひともお知らせくださいね。

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

*当クリニックに通院中でない方も

妊活中で心理カウンセリングをご希望の方は、

カウンセリングをご利用いただけます。

お電話でご予約ください。

 

 

 

 

 

 


2025.07.10

今日もありがとう、お疲れさま、わたし。

 

IMG_345(002)

 

わたしたちって、毎日毎日

たくさんのことをやっていて、

「まだ眠っていたいけど、起きて仕事に行かないと…」

「仕事を定時で終わらせて、クリニックにダッシュして、それから夜ご飯を…」

「からだは疲れているけど、洗濯物たたんで片づけて、掃除機かけなくちゃ!」

といったタスクを浮かべては、そのタスクのために

こころやからだが付き合ってくれているんですよね。

 

「仕事なんだから行ってあたりまえ!」

「あれもしないと、これもしないと!」

「やらないといけないんだから、さっさとやろう!」

という考えが自動的にあたまに浮かんだりしますが、

こころやからだにとっては

「本当はしたくないなあ」とか

「めっちゃがんばってやってるんやけど…」

ということって、けっこうあるんじゃないでしょうか…?

 

そんなことを思いながら過ごしていると、

「あっ! 今『~しないとっ!!』って考えてた!」

という瞬間にたくさん出合います。

 

「まだ眠りたいけど、起きないと!」で一日が始まって

「もうこんな時間!早く寝ないと!」で一日が終わったなあ…

ということにも、ふと気づいたりします。

 

みなさんは、いかがでしょう?

「あれしなきゃ、これしなきゃ!」は、

たくさんありますか?

 

こんなふうな日々なんだなあ…と思うと、

じぶん以外の人には

「こんなにたくさんのタスクをお願いできないなあ…」

「こんなに『~しないといけないよ』って言わないなあ…」

というくらいの行動を当然のように

じぶんにはさせているんですね。

 

そんなたくさんのことをしているじぶんに

「今日もできてエラかったね」

って言ってあげると、

結局はがんばることがベストだよって

じぶんに伝えてしまう気がするんです。

がんばらないを選ぶことが

いいときだってあるかもしれませんよね。

 

だから、評価をしたりしないで、

「起きてくれてありがとうね。」

「無理させてごめんね。

 その分、帰ってきたら、ゆっくりしようね。」

という感じでじぶんと対話をして、

ちょっとがんばってくれた

こころやからだの負担を労いたいところです。

 

今年の夏も

なかなか慣れない暑さと湿度が続きそうです。

あまりじぶんに無理させないで、

甘やかしてあげるくらい

じぶんを信頼していたいですね。

 

十二分にご自愛してお過ごしください。

 

 

 

 

臨床心理士・公認心理師   間塚

 

 

 

*当クリニックに通院中でない方も

妊活中のこころの持ち方や人間関係など

カウンセリングでおうかがいしております。

お電話でご予約ください。

 

 

 

 

 


2025.06.25

プレコンセプションケア事業の実施医療機関になりました

プレコンセプションケア事業



■ QRコードが読み取れない方はコチラから


2025.06.18

「あんぱん」観てますか?

 

IMG_3447 (002)

 

わたしは、今回の朝ドラ「あんぱん」を、できるだけ観ています。

ドラマは今、太平洋戦争中で、大変苦しくつらい朝が続いています。

 

今年は、終戦80周年ですね。

80年前の今頃は、都市部はもう焼け野原で、いよいよ沖縄が占領下に…というところです。

80年前に終わったこの戦争ですが、

戦後数十年してから生まれたわたしたちもこの戦争の影響を受けていると

考えたことってありますか?

 

わたしが学生だった頃、

「アダルトチルドレン」「家庭内暴力」「虐待」

「アルコール依存症」「共依存」といったワードが

社会面を賑わせていたように思います。

 

これらは、戦争から帰ってきた方を親として育てられた世代が

自らの家庭を築いていく中で「困りごと」として表面に出てきました。

 

これらの現象には、実は戦争トラウマが影響しているということが、

今になってようやく認識されるようになりました。

 

戦争トラウマという認識が始まったのは、

ベトナム戦争がきっかけです。

ベトナム戦争から帰ってきたアメリカ軍の兵士たちの中には、

日常生活にうまく適応できなくて

不眠、アルコールや薬物中毒、感情のコントロール不良、

犯罪行為、家庭内暴力、性暴力、ときには自殺や殺人というような状態や行動に至るケースが多く、

そこで初めてこれらはトラウマ反応であり戦争によるストレスとの関連が認められ

PTSD(心的外傷後ストレス症候群)という病名が生まれました。

 

日本でも、太平洋戦争のあと、

覚せい剤や粗悪な焼酎が大量に出回ったといいますよね。

しかし、そのころは戦争トラウマという概念はなく、

依存症や暴力行為というようなかたちで戦争トラウマの反応が出たみなさんを

治療したり援助したりということはなかったようです。

戦時中「戦争神経症」と診断された方は約1万人いて、軍の病院で治療を受けていましたが、

国は、このような精神疾患を発症した方々を「皇軍の恥」と、ひた隠しにしていたようです。

精神疾患が「恥」とされていた時代ですし、

暴力行為や人格の変化などは世間に知られたくなかったかもしれません。

これらのトラウマ反応は家庭内でこっそりと隠されて

当時は社会的に問題とされなかったのではないでしょうか。

 

日本は、住んでいる土地も戦禍に見舞われていますし、

従軍していなかった人たちも戦争体験のトラウマや被害体験の影響があったと想像しています。

 

「あんぱん」のみなさんの今後が

どのように描かれていくのでしょうか…。

 

戦争トラウマを抱えた家族がいる家庭で育った方には

こころ健やかに成長することが難しかった方がおられます。

そういった安全でなくて安心できない状況で育つと

じぶんが結婚して家族をもったときに

暴力行為や依存症など家族を脅かす言動が連鎖することがあって、

そこで育った子どももまた、成人後も生きづらさを抱えることがあります。

わたしたちも何かしら戦争の影響を受けて育っている可能性があるのです。

 

こういった歴史的背景があるので、

「妊活しているけど、子育て大丈夫かな?」

「あたたかい家庭を築きたいけど、できるかな?」

と、気がかりをお持ちの方もいらっしゃって当然だと思います。

これは個人の問題では終わらないことだと思っています。

その中でも、「もう少し生きやすくなりたい」

「もう少し自分を信頼したい」

「母親になる自信が欲しい」

そういったお一人おひとりの想いを大切にしていきたいなと思っています。

 

もしよかったら、今まで背負ってきた荷物を、一旦整理してみませんか?

必要な荷物は、自分にとってどのように必要なのか、理解しておきましょう。

知らないうちに背負ってしまっていた下ろせる荷物もあるかもしれません。

 

 

<参照>信田さよ子著「タフラブ 絆を手放す生き方」 株式会社dZERO

    「連載『戦争トラウマ 連鎖する傷』」 朝日新聞

    「戦跡―薄れる記憶-AFTER THE WAR」 NHK

 

 

 

臨床心理士・公認心理師  間塚

 

 

 

 


よくあるご質問